「スピーチ?」
って何、と言ったのは愛莉で、まさか知らないの?と思わず目を見開く。
後夜祭だよ、としょーくんが言う。
「ミスコン表彰あるじゃん。そのときインタビューとかスピーチとかやるんだよ」
しょーくんがそう説明すると、愛莉はふうん、と軽く頷いた。
「そんなのあるんだね」
「え、なんか他人事みたいな返事」
「だって、私はたぶん選ばれないし」
「そうでもないみたいだよ?」
しょーくんはスマホを取り出して、ほらこれ、と言って差し出す。
なんだろう、と思って私と愛莉はその画面を覗く。
「これってまさか」
「うん。今年から、ここでのいいね数も投票結果に反映されるんだって」
それはアカウント名が『文化祭実行委員ミスコン専用』というつぶやき投稿SNSで、ミスコンの投票数が可視化されていた。
愛莉のいいね数は、桁違いに多い。
「わあ、これはもう決定じゃん!」
「いつの間に……」
「愛莉おめでと〜っ」
「でもまだわからないでしょ」

