「どんな衣装着せられるのか知らないからちょっと不安だけど」
「心配ご無用、愛莉なら何でも似合うよ!ねー、そらくんっ」
「うん、愛莉は何着ても綺麗だよ」
「っ……もう、お世辞はやめてよ」
お世辞なんて言わないよ〜、と照れる愛莉の背中を叩いてあははっと笑う。
それにつられたのか、愛莉もふふっと笑う。
ひゅう、と冷たい向かい風が私の前髪を揺らして、通り過ぎる。
目前に広がる深紅と黄金と青朽葉の絨毯が、ゆらりと波打つ。
くしゃ、くしゃ、と乾いた音が心地良いから、一歩一歩を大切に踏みしめたくなる。
でも、澄んだ空気はなぜか少し寂しくて、
なんとなく、
切ない感じがした。

