……────「なあ」
はっとする。
そういえば、そらっちがいた。
「……事実だよ」
うわさ真に受けちゃいなよ、と軽い口調で飛ばした。
「今はそういうの、してないんだろ」
挑発するような視線が、俺の顔に刺さる。
「まあ、そうだね」
だって今は、そんなことよりも愉しいことが、あるからね?
「その理由、ぜひ聞かせろよ」
低く唸るような声。
強気な感情を滲ませたその音は、ずいぶんと殺気立っている。
「くくっ……」
「なんで笑う」
この男。
大事なモノを奪われたくないからなのか、俺の本性を暴きたいからなのか。
彼の口から放たれる声色は、どこか焦燥感が含まれている気がした。
「理由なんて、わかってるでしょ?」
「……あれ、本気なのか」
「もちろん」
“あれ、”というのは昼休みの暴露だろうと解したから、大きく頷いた。
彼はまだ信じられなさそうな顔をしている。

