ガハハ!と金髪くんが笑ったと同時に授業開始のチャイムが鳴り、ガラッと教室のドアが開く。
ひょろりとした一生独身であろう見た目の男性がバーコード頭を掻きながら入って来た。
早々と席に着いて静かになるクラス。
みんな、簡単に騙される。
とりあえず笑顔と優しい言葉を撒き散らしておけば、ほとんどの人間は俺を好いてくれる。
それは全て仮面だということに気づかない。
それは全てその場しのぎに過ぎない。
わかってる。
わかってるんだよ。
そうして満たされていると感じている心は、
ただの錯覚にすぎないって。
でも。
うわべでも錯覚でも偽りでも
なんでもいいから。
そうやって何かを掴まなければ、
このどうしようもない空虚から
逃れられないんだよ。
……カチッ。
ふと、時計の音がやけに大きく聞こえて、顔を上げる。

