「どうした?」
軽く問いかけると、少し俯いた愛莉は、
そらってさ、と口を開く。
「ハナのこと、どう思ってる?」
よく通る声だった。
「……、」
「……聞いてる?」
顔を上げ、真っ直ぐに目を見つめられる。
心まで見透かされそうな、視線。
問い詰めるような視線に、
思わず目を逸らしそうになるのを耐えて。
「急に何を」
「いいから答えてよ」
一歩、近づく愛莉。
無表情だった。
ハナのこと、どう思ってるって。
「普通に好きだけど」
頭から離れないくらい綺麗だなって思って、
気づけばその子のこと考えて、
他の男と話してるの見たらムカムカする。
それは、好き、というらしい。
「そっか」
無表情だった愛莉は、糸が切れたように優しい表情になる。
「急になんで、っ!?」
突然、胸に衝撃が走ったと思ったら、
目の前の愛莉が消えていた。

