「あっ、たしかに!今日浴衣だったー!」
「ははっ、そうだな」
あいつは笑って、じゃあよろしく、と手をひらりと振る。
「しょーくんまたねー!」
ばいばーい、とハナが威勢よく手を振るから、ぶんぶんと振動が伝わって俺の体も揺れる。
「じゃあ行こっか」
ずっと黙って様子を見ていた愛莉が歩き出した。
俺たちもそれに続く。
バス停について、路線検索のアプリを使ってバスを調べる。
「あ、の……そらくん、」
「ん?」
ハナは隣から遠慮がちに俺を見上げた。
まぶたのキラキラした化粧が、街灯の光で反射して輝く。
「いつまで、こうしてるの?」
「え……」
言われて初めて、気がついた。
「ご、ごめん!」
ぱっとハナの手首を離し横へ飛び退く。
かあっと顔が火照るのを感じた。
タイミングよくバスが来て、逃げるように乗り込んだ。
客は数名だった。

