「俺、向こうにバイク停めてる」
「私はバス」
「俺も」
愛莉と俺も続けて答えると、そっかー、と言ってスマホを取り出し、何かを考えるハナ。
「ハナはどうするわけ?」
あいつが言う。
「んー、どうしよう。来るときは愛莉と一緒だったけど、帰りのバスのこと考えてなかった〜」
自分の家の最寄りバス停から来たわけではなく、一度どこかで愛莉と待ち合わせをして祭りに来たらしい。
いつも電車で学校へ通っていると言っていたが、帰りのバスはちゃんとわかっているだろうか。
「バス無いなら送ろっか?」
「「えっ」」
ハナの声に重なったのは、無意識にもれた俺の声。
「なんでそらっちまで驚いてんの」
目を見開く俺を見て、あいつがくくっと笑う。
「そっかあ、そらくんはしょーくんが免許持ってるって初耳だよね」
「あ、ちゃんと1年経ってるよ?」
心配すんなよ、と言って口角を上げる。
そういう問題ではない。

