「そらっちも何か食う?」
「……いい」
「あ、たこ焼きもいいけど焼きそばも食べたいなー。ね、そらっち」
「その呼び方やめろ」
真後ろでそんな会話が聞こえた。
ちょっと人の列が前に動いて、3歩ほど進む。
後ろを向いて、しょーくんとそらくんを交互に見る。
「“そらっち”って、そらくんのこと?」
「うん、そうだよ」
「ぷっ。なんかそらっぽくないわね」
「だからやめてくれ」
しょーくんが当然のように涼しい顔で肯定するから、そらくんは心底不愉快な顔をする。
あ、ちょっと可愛い。
「そらっち、も、一緒にたこ焼き食べようよ!」
「鈴木さんまで……」
なんだかそらくんと私、お互いぎこちないような感じがした。
「ん〜やっぱりそれ慣れないなあ。私あんまり名字で呼ばれないから……」
学校では同じ名字の生徒や先生が結構いるから、区別するために、自然とみんなから下の名前で呼ばれるようになったんだよね。

