あ、浴衣だ、と言ってニコッと笑うしょーくん。
久しぶりにこんな近くでその笑顔を見て、胸がトクン、と小さく鳴った。
「あれ?なんか今日、いつもと違うね」
「っ!」
急にぐっと顔を近づけてくるから、思わず一歩後ずさる。
「あ、ごめん」
「う、ううんっ、びっくりしただけ……」
顔がかあっと熱くなる。
お祭りの熱気のせいってことにして、人多くなってきたねーあはは、なんて言う。
「じゃあ行こっか」
明るく弾むしょーくんの声。
緊張をまぎらわそうと、その声に調子を合わせてレッツゴー!と拳を掲げた。
立ち並ぶ屋台に沿って人混みができ、道の中央は車の渋滞のように人の列がのろのろ進む。
自然と前に2人、後ろに2人で歩く。
後ろでしょーくんとそらくんが話しているみたいだけど、騒がしくて聞こえない。
ふと、たこ焼きの美味しそうな香りが鼻を刺激した。
「たこ焼き!」
「食べる?」
「食べたーい」
愛莉が後ろの二人を呼んで、屋台の列に並んだ。

