「時間まであと10分あるけどね」
「でも待たせてるしっ」
全然慣れない草履で、無理やり早足に進む。
神社の門が少し見えてきて、祭りのにぎやかな音が近づいてきた。
「あ、そら」
「どこどこ?」
「ほらあっちに」
「あっいた!そらくーん!」
声に気づいたそらくんは、少し遠慮がちに微笑んでこちらへ歩いて来る。
そらくんの私服を見るのはこれで2回目。
もう夏なのに相変わらず白い肌で、黒いふわふわの髪。
「浴衣いいね」
愛莉と私を見て、穏やかな顔で言った。
「うふふっ、愛莉とっても似合ってるでしょ?」
「うん、綺麗だね」
「……ハナが選んでくれたの」
少し照れくさそうに顔を背ける今の愛莉、めちゃくちゃ可愛いんだから。
しばらくして、3人で雑談する私たちに駆け寄る足音が聞こえて、振り向くとしょーくんだった。
「お待たせ。もうみんな揃ってるんだね」
「しょーくん!」

