* * *
「ね、変じゃない?」
「うん、もう18回目よ」
バスの後部座席に並んで座り、小さな手鏡を覗き込む。
外から差し込む夕日のおかげで見えやすい。
「ちょっとチーク濃すぎたかなあ」
「じゅうぶん可愛いから、車酔いしないでね」
いろんなサイトや動画をみて浴衣に合う髪型やメイクを研究してきた。
この日のために買った花飾りも、毛先をくるくる巻いてハーフアップにした後ろ髪につけた。
私たちと同じようにバスには浴衣姿の人がちらほらいて、目的地へ近づくにつれて人が増えていく。
バス停についたら、履きなれない草履で足元をとられつつ人の流れに沿って歩いた。
ピロン♪
「あっ、そらくんもう着いたって!急がなきゃっ」
スマホを帯にぶっさし、愛莉の手を引く。
この夏祭りのために4人で連絡先を交換し、グループトークを作った。

