最後の一夜のはずが、愛の証を身ごもりました~トツキトオカの切愛夫婦事情~

魚たちよりもずっと美しい横顔を見つめていると、まつ毛が長い二重の瞳がこちらを向いた。俺の口からは想いがこぼれる。


「……ああ、俺も好きだ」


デザインも、それ以上に君のことも。なぜ今までないがしろにしていたんだ、こんなにかけがえのない存在を──。


一絵とのデートはとても楽しい時間だったが、俺の心には後悔ともどかしさが渦巻いている。日が沈み、イルミネーションが輝く島内を眺めている今も。

どうすれば彼女を引き止められるのだろう。そもそも、離婚を切り出した本当の理由は好きな奴ができたから……という可能性もなくはない。だとしたら、俺にチャンスなどはなくなる。

寒そうにする華奢な肩を抱いて思案していたとき、彼女が微笑んで言う。


「今日、一緒に来られてよかったです。慧さんと、ふたりで来られてよかった。……素敵な思い出になりました」


俺たちの関係がもうすぐ終わることを示唆する言葉。それを改めて実感させられた途端、一気に焦燥に駆られる。

気がつけば、俺は愛しい顔をこちらに向かせ、唇を奪っていた。