しかし隣に一絵がいるだけで、まるで別世界のよう。手を繋いで歩けば鼓動は速まり、まさに海の中にいるかのごとくふわふわとした感覚を覚えた。
彼女がカラフルだという魚たちも、俺にとっては似た色が多く見えたが、それでも綺麗だと思える。この非日常な空間にいるせいか、彼女のデザインを褒める言葉も自然に出てきた。
すると、一絵は水槽に視線を向けつつも、どこか遠くを見るような目をして話し出す。
「デザインって構図も色も自由に表現できて、〝こうあるべき〟っていう概念を崩せるから好きなんです。たとえば、海の色はほとんどの人が青だって言うだろうけど、デザインの世界では何色でもいいから」
──穏やかな声で口にされたその言葉が胸に沁み込んで、じんわりと温かくなった。
固定観念に囚われないこの子なら、俺も受け入れてもらえそうな気がする。こんなふうに考える人が、誰よりも近くにいたなんて。
同時に、もうひとつわかったことがある。なにか大きなきっかけがあって俺の恋が始まったのではなく、一絵の人柄や考え方に惚れたのだと。
彼女がカラフルだという魚たちも、俺にとっては似た色が多く見えたが、それでも綺麗だと思える。この非日常な空間にいるせいか、彼女のデザインを褒める言葉も自然に出てきた。
すると、一絵は水槽に視線を向けつつも、どこか遠くを見るような目をして話し出す。
「デザインって構図も色も自由に表現できて、〝こうあるべき〟っていう概念を崩せるから好きなんです。たとえば、海の色はほとんどの人が青だって言うだろうけど、デザインの世界では何色でもいいから」
──穏やかな声で口にされたその言葉が胸に沁み込んで、じんわりと温かくなった。
固定観念に囚われないこの子なら、俺も受け入れてもらえそうな気がする。こんなふうに考える人が、誰よりも近くにいたなんて。
同時に、もうひとつわかったことがある。なにか大きなきっかけがあって俺の恋が始まったのではなく、一絵の人柄や考え方に惚れたのだと。



