最後の一夜のはずが、愛の証を身ごもりました~トツキトオカの切愛夫婦事情~

ところが、こういう日に限って仕事が終わらなかったらしく、彼女が帰ってきたのは午後八時。しかも、大量の惣菜を買って。

若干驚いたものの、すぐに決まりが悪くなる。

こうしてラクをしたいときもあっただろうに、一絵は毎日家事をきっちりこなしていた。そのありがたみをひしひしと感じ、任せっきりにしていたことを反省する。

俺は本当にダメな夫だな。だから愛想を尽かされるんだ。今日の惣菜パーティーも、もう手料理は作らないというあてつけなのかもしれない。

瀬在はまだ遅くないと言っていたが、彼女の気持ちをこちらに向かせるのは至難の業ではないだろうか。仕事では強気に出られるが、女性に対してはそうもいかない。

……でも、せめて一絵を喜ばせたいとは思う。これまでなにもしてやれなかった分、少しでもいい思い出を作ってあげたい。


そうして、食後に話し合って初めてのデートの予定を立てた。当日までの数日間、遠足が楽しみな子供みたいに内心そわそわしていたことは絶対に秘密だ。

十数年ぶりに訪れた水族館は、幼い頃のイメージとは違って若干小さく見えたし、こんなにオーソドックスな造りだったか?と感じた。