ビールを喉に流した彼は、このなんとも言えない空気を変えるように口を開く。
「週末、どこか行くか」
やや軽くなった声色で突然提案され、私は顔を上げて目をぱちくりさせる。
「え?」
「ふたりで出かけたこともなかっただろ。なにがしたい?」
私だけを見つめる瞳はとても穏やかで、胸が切なくきゅっと締めつけられる。もしかして、これも妻サービスのひとつ?
私への罪滅ぼしのようなものだと考えれば、急に彼の言動が変わったのも納得がいく。もうすぐ終わってしまう関係だからこその提案なのだろう。
それなら、抱いてほしいと頼んだあの日と同様、彼を困らせるような願望を口にしてみようか。いい妻でいる必要はないのだから。
幾度となくよぎる思いに後押しされ、目だけで旦那様の顔を見上げて本心をつぶやく。
「……慧さんを、ひとりじめしたい」
意表を突かれたのか目を丸くした彼は、片手で口元を覆って目を逸らした。
「お前……それは反則だろ」
「なんでですか」
またしても〝お前〟になっているので笑いそうになるも、反則の意味がよくわからない。ただ、眉根が寄せられているし、やっぱり困っているのだろう。
「週末、どこか行くか」
やや軽くなった声色で突然提案され、私は顔を上げて目をぱちくりさせる。
「え?」
「ふたりで出かけたこともなかっただろ。なにがしたい?」
私だけを見つめる瞳はとても穏やかで、胸が切なくきゅっと締めつけられる。もしかして、これも妻サービスのひとつ?
私への罪滅ぼしのようなものだと考えれば、急に彼の言動が変わったのも納得がいく。もうすぐ終わってしまう関係だからこその提案なのだろう。
それなら、抱いてほしいと頼んだあの日と同様、彼を困らせるような願望を口にしてみようか。いい妻でいる必要はないのだから。
幾度となくよぎる思いに後押しされ、目だけで旦那様の顔を見上げて本心をつぶやく。
「……慧さんを、ひとりじめしたい」
意表を突かれたのか目を丸くした彼は、片手で口元を覆って目を逸らした。
「お前……それは反則だろ」
「なんでですか」
またしても〝お前〟になっているので笑いそうになるも、反則の意味がよくわからない。ただ、眉根が寄せられているし、やっぱり困っているのだろう。



