最後の一夜のはずが、愛の証を身ごもりました~トツキトオカの切愛夫婦事情~

ひと通りのおかずを味わったところでそんな感想をもらえた。

「本当ですか?」とつい疑ってしまったが、素直に嬉しくて頬が緩む。手料理になにも感じてもらえていなかったわけではなくてよかった。

するとふいに彼が箸を置き、真面目な調子で話し出す。


「……料理も掃除も、今まで一絵がやるのが当たり前だと思っていた。君だって仕事していて、今日みたいに忙しい日や疲れているときもあるだろうに、よく嫌な顔もせずやってくれていたな。ありがとう」


思いがけない言葉をもらえて、心がじんわりと温かくなる。お惣菜のパックを出して嫌な顔をされるどころか、まさか感謝されるとは。

ここのところ予想外の展開ばかりで動揺しつつ、小さく首を横に振る。


「いえ、私も自分がやるのが当然だと思っていますから」
「だとしても、俺は労いの言葉すらかけてやれていなかった。離婚を切り出されても当然かもしれないな」


自嘲してまつ毛を伏せる彼の顔が憂いを帯びて見え、ズキンと胸に痛みが走った。

あなたに失望したわけじゃないと伝えたいが、本当の理由を聞かれても困ってしまう。どう返したらいいかわからず、私も視線を落として黙り込んだ。