最後の一夜のはずが、愛の証を身ごもりました~トツキトオカの切愛夫婦事情~

「おかえり」
「ただいま……帰りました」


いつもとは逆の挨拶が、慣れなくてくすぐったい。彼の声も心なしか柔らかくて、胸がトクンと鳴った。


「遅かったな。トラブルでもあったか?」
「いえ、単に私が手こずっていただけです」


腰を上げる慧さんにそう返し、ダイニングテーブルの上にスーパーのビニール袋をドサッと置く。中からお惣菜のパックを次々と取り出して並べ、これみよがしに両手を広げてみせる。


「この通り遅くなってしまったので……今夜はお惣菜パーティーです!」


目をしばたたかせた慧さんは、無表情で値札が貼られたパックを眺め、ひとつうなずく。


「……ほう」
「いろいろ買ってきたので、分け合って食べましょう」


彼がどんな反応をするか気にしつつ、明るく笑った。

とりあえず温めるものはレンジに入れ、サラダ系は小鉢に移そうと食器棚に向かう。そうやってせかせか動く私に、慧さんが意外な言葉を投げかける。


「皿に移す必要あるか? 洗い物も増えるし、面倒だろ」


そんな主婦思いの発言が出るとは思わず、驚いた私は小鉢を取り出そうとした手を止めて振り向いた。