最後の一夜のはずが、愛の証を身ごもりました~トツキトオカの切愛夫婦事情~

すぐ忘れてしまう自分に呆れる。きっと心の奥底に、まだ彼の妻でいたいという裏腹な願いが残っているせいだ。

決心したはずなのにぐらぐら揺れている自分に自嘲気味の笑みをこぼし、「そうだね」と麻那に同意した。


オフィスを出たあと、港北区にあるマンションの最寄りのスーパーでお惣菜のパックをいくつか買って帰途についた。

さっき麻那が言っていた、『たまに食べるカップラもおいしいよ』という意見には私も共感するのだけど、さすがにそれはやめておいた。

こんなふうに手を抜くのは初めてだ。慧さん、不機嫌になったり怒ったりするのかな……いや、これまで手料理にもそこまで関心はなさそうだったから、どうでもいいと思っているかも……。

考えているとなんだか切なくなってくるので、もう深く気にしないでおくことにして玄関のドアを開けた。

いつもは暗い室内に明かりがついている。白を基調とした、シャビーシックとモダンをかけ合せたテイストの内装は、主に慧さんがコーディネートしたものでとてもおしゃれだ。

リビングダイニングに入ると、部屋着に着替えた慧さんがソファにゆったりと座っていた。操作していたタブレットから私へと視線を移す。