いつになく帰るのが楽しみになり、そわそわしながら今担当している企業のサイト作成に取り組んでいたものの……今日のノルマを達成する頃、私は焦っていた。
納得のいくデザインがようやく仕上がって時計を見上げたところ、時刻は午後七時。慧さんは出先から直帰するようだから、確実に先に帰っているだろう。
「あ~、夕飯作るの間に合わない……」
パタンと閉じたパソコンに、こつんと額をくっつけて嘆いた。
毎日自炊しているのだが、今夜は特に手料理を振る舞いたかった。慧さんが好きな小籠包でも作ろうかと思っていたのに、これから買い物をして作るとなったらだいぶ待たせてしまう。
思えば、慧さんが私より先に帰る日はこれまでほとんどなかった気がする。どうして今日に限って残業に……。
疲れたせいもあって脱力していると、肩がトントンと叩かれる。見上げた先には、癒し系の笑みを浮かべる麻那が立っていた。
「ひとちゃん、お疲れ様。まだ終わらない?」
「ううん、今終わったとこ。今日、慧さん帰ってくるの早いんだよね。夕飯どうしよ」
ひとり言のような私のつぶやきに、麻那は顎に人差し指を当てて考え出す。



