最後の一夜のはずが、愛の証を身ごもりました~トツキトオカの切愛夫婦事情~

あの夜からずっともやもやしているのは、これが原因だ。すべて自業自得なので呆れてしまうが。

今も、もう空になった食器をぼんやり眺めて思いを巡らせていると、高海がやっと穏やかな笑みを浮かべて私を見る。


「本当によかったな。社長も一絵を好きだったってことだろ」


そのひとことに、はっとさせられた。

……違う、私は愛されているわけじゃない。このまま結婚生活を続けたら、いつかきっと苦しくなる。一度抱き合っただけで勘違いしては元も子もない。

離婚しようと決意した理由を見失うなと、自分を叱咤する。高海に曖昧に微笑み返したあと、視線が合った麻那は、私の心情を察しているかのように複雑な表情をしていた。


昼食を終えて十七階に上がると、間仕切りがあまりない広々としたワンフロアがある。ナチュラルテイストに所々ビビッドカラーを差し色にしたオシャレな内装のここが、私たちジョインプレッションのオフィスだ。

フリーアドレス制のため固定席はなく、各々好きな席で仕事している。私は窓際にある小さなテーブルがなんとなく好きで、今日もそこに座る。

麻那はチームの打ち合わせに、高海はひとりで集中できるブースにそれぞれ向かった。