最後の一夜のはずが、愛の証を身ごもりました~トツキトオカの切愛夫婦事情~

瀬在さんとは、慧さんが社長に就任すると同時に秘書に任命された男性。穏やかな性格に加え笑顔も素敵で、正統派な王子様タイプの彼も社内で大人気だ。

確かに以前からふたりはよく行動を共にしていたし、私よりもはるかに慧さんのことを知っているだろう。さすがにふたりが恋仲だなんてことはありえないが。

信頼関係が築けているふたりを内心羨ましく思っていると、麻那は口元を緩めてなにげなく言う。


「ちゃんと奥さんに欲情するって証明されたわけだし、社長の人間味のある部分が見えてちょっとホッとしたかも」

「ああ……社長って誰も寄せつけないような雰囲気を出しまくってるし、女にも興味なさそうだったからな。仕事ができる故に自信家で、言動に遠慮がないところとか憎らしいし」


高海はただの悪口になっている気がするけれど、私もほぼ同感して頷いた。ふたりと同じ印象だったから。……抱き合うまでは。

畔上慧は完全なる仕事人間で、〝妻イコール身の回りの世話係〟だと認識しているのだろうと思っていた。

でも、私を見つめる瞳があんなに甘く変化して、優しく触れてくれるのだと知った今、とても戸惑っている。離婚することにためらいが生まれてしまったから。