最後の一夜のはずが、愛の証を身ごもりました~トツキトオカの切愛夫婦事情~

それはさておき、高海はようやく割り箸を割りながらそっけなく言う。


「まあ、とりあえずおめでとう。これでなにも問題なくなったじゃん」
「〝おめでとう〟って感じの顔じゃないけどね……」


にこりともしない彼に、私は口の端を引きつらせた。さっきからなんなんだ、落ち込んだかと思えば不機嫌そうにして。

というか、問題はなくなるどころか複雑化している。高海は私の片想いが実ったと思っているようだが、実際は離婚話があってこその一夜だったのだから。

麻那にはすでに打ち明けたけれど、曲がったことが嫌いな高海には言えそうにないな……。『離婚するのに抱かれたいって、理解不能』とか一蹴されそうだもの。

お皿に残ったパスタをちびちび口に運んでいると、男らしく豪快にカツ丼を食べ始めた彼が、もぐもぐしてから話しだす。


「つーか、今までがおかしかったんだよな。夫婦になって暮らしてんのに、社長はよく手を出さずにいられるなと思ってたんだ。瀬在(せざい)さんのほうが一緒にいるし、そっちの趣味があるのかなって」
「それは私も思った~」


高海の冗談に麻那がのほほんと同調するので、私は「おい」と軽くツッコんだ。