最後の一夜のはずが、愛の証を身ごもりました~トツキトオカの切愛夫婦事情~

「あいつが人の妻に手を出そうとしたことは一生忘れない」
「根に持ちすぎ」


高海の話をすると慧さんはいまだにムスッとするので、私は口の端を引きつらせてツッコんだ。

高海のほうは、増田部長との一件で慧さんの本気度がわかったらしく、完全に身を引いていたのに。この人がここまでヤキモチ焼きだったとは。

呆れた笑いをこぼしていると、幸せ真っ只中にいるもうひとりの人物を思い出した。


「あと菫さん、もうすぐ予定日だ。無事生まれてほしいですね」


あれから菫さんは、増田部長とはきちんとお別れし、新たな道を歩み始めた。その選択で運命の出会いを果たしたらしく、次に付き合った人と結婚し、再び赤ちゃんを授かったのだ。

私が入院しているときにもわざわざ会いに来て、『たくさん迷惑をかけてごめんね』と謝ってくれた彼女。

ちょうど一緒にいた慧さんにも、『一絵さんほど、あなたを想える人はきっといない。素敵な人に恵まれたわね』と声をかけていて、いくらか明るくなった表情に安堵したのだった。

今度こそ彼女も赤ちゃんに会えるはず。そう信じて青い湖を眺めていると、慧さんの唇が額に触れる。


「俺たちも、ふたり目がんばろうか」