最後の一夜のはずが、愛の証を身ごもりました~トツキトオカの切愛夫婦事情~

穏やかな時間が訪れ、火照った肌を撫でるそよ風と、流れるお湯の音にも癒されながら、離れた場所にいるわが子に思いを馳せる。きっと皆に可愛がってもらっているだろう。

今頃楽しんでいるのは、いろはだけではない。


「麻那も新婚旅行に行ってるのか~、いいなぁ。イタリア、私も一度は行ってみたい」
「家族旅行もいいけど、子供が手を離れたらふたりでいろんなところに行こう」


うっとりする私に慧さんが言い、十数年後を楽しみにして微笑み合った。

麻那は数カ月前に結婚式を挙げ、彼女も奥様になった。お相手は大学時代の同級生で、実は長いこと付き合っていたのである。

だから旦那様のほうもよく知っているし、結婚報告されたときは感動して泣きそうになった。これからもっともっと幸せになってほしい。

そして、私たちが心配していた高海も、ちゃんと前に進んでいる。


「高海も彼女と同棲を始めるんですよ。このまま結婚までいけばいいな」


彼は去年新卒で入社してきた子と意気投合して付き合い始め、順調に愛を育んでいるようだ。

彼女が高海のことを大好きなのが伝わってくるし、本当によかったと祝福している。……のだが、そうでもない人がここにひとり。