最後の一夜のはずが、愛の証を身ごもりました~トツキトオカの切愛夫婦事情~

「今日はすみません。いろはのこと、よろしくお願いします」
「いいのよ~、誘ったのはこっちなんだから。むしろ、いろはちゃんを預けてくれてありがとう」
「一日だけだけど、夫婦水入らずでゆっくりしてらっしゃい」


快く逆にお礼を言ってくれるお義母様に、にっこり微笑む結子さんが続く。

少し照れつつ慧さんと目を見合わせると、彼は「じゃあ、お言葉に甘えて」とクールに言い、自然な仕草で私の手を取った。


一時間半ほどかけて向かったのは箱根の温泉宿。ここで一日まったりと過ごすつもりだ。

全室に露天風呂がついている大人限定の隠れ宿は、とても静かで風情があり、客室もサービスもハイクラスで文句のつけどころがない。

落ち着きのある和洋室で、まず贅沢な懐石料理に舌鼓を打ったあと、ゆっくりと湯船に浸かった。

芦ノ湖を眺められる景色も最高。紅葉も綺麗で、現実を忘れてしまいそう。きっと慧さんも同じように思っているだろう。

檜の浴槽の縁に腕をかけ、「はあ……幸せ~」とため息を漏らすと、後ろからするりと手を回される。背中に厚い胸板が密着し、チャプンと音を立てるお湯と共に心臓が跳ねた。