ふいに、口元を片手で覆った瀬在が、俺にしか聞こえない程度の小さな声で呟く。
「慧さん……社員の前では言えるのかよ……」
心の中で、〝あ〟と間抜けな声が漏れた。
本当だ、気づけば熱い告白をしていた。どうして一絵じゃなく、こんなロクでもない男と多くの社員たちの前で。
一気に冷静になって増田から身体を離すと、近くにいた高海が俺の顔をまじまじと見て口を開く。
「社長、そんなにあいつのことを愛していたんですね。ちょっと感動しました」
穏やかに微笑む彼から出てきたのは、意外な言葉。ぎこちなく辺りに目をやると、皆一様に締まりのない顔でニヤニヤしている。
「素敵なご夫婦ですねぇ~」
「色弱のこと、もっと勉強しようって思いました」
「安心してください。これからも社長についていきますから」
口々にそんな言葉がかけられ、胸の奥がじんわりと温かくなる。厳しい態度を取ることも多いが、いい社員に恵まれたことに感謝し、口元を緩めて「ありがとう」と返した。
それもつかの間、気恥ずかしさでいたたまれなくなり、俺はぎゅっと眉根を寄せて「仕事しろ」と一喝する。
皆、照れ隠しだと察したらしく、笑って返事をしながら各々のデスクに戻っていった。
「慧さん……社員の前では言えるのかよ……」
心の中で、〝あ〟と間抜けな声が漏れた。
本当だ、気づけば熱い告白をしていた。どうして一絵じゃなく、こんなロクでもない男と多くの社員たちの前で。
一気に冷静になって増田から身体を離すと、近くにいた高海が俺の顔をまじまじと見て口を開く。
「社長、そんなにあいつのことを愛していたんですね。ちょっと感動しました」
穏やかに微笑む彼から出てきたのは、意外な言葉。ぎこちなく辺りに目をやると、皆一様に締まりのない顔でニヤニヤしている。
「素敵なご夫婦ですねぇ~」
「色弱のこと、もっと勉強しようって思いました」
「安心してください。これからも社長についていきますから」
口々にそんな言葉がかけられ、胸の奥がじんわりと温かくなる。厳しい態度を取ることも多いが、いい社員に恵まれたことに感謝し、口元を緩めて「ありがとう」と返した。
それもつかの間、気恥ずかしさでいたたまれなくなり、俺はぎゅっと眉根を寄せて「仕事しろ」と一喝する。
皆、照れ隠しだと察したらしく、笑って返事をしながら各々のデスクに戻っていった。



