俺も見くびられたものだと思いつつ、厳しい視線をまっすぐ向けて告げる。
「もしもよからぬことを企んでいるのなら、もう一度お考え直しください。それは、あなたの身を滅ぼしてまでする必要があることなのか」
俺たちは秘密保持契約を結んでいるので、違反したとなれば増田もただでは済まされない。
それは当然わかった上での計画なのだろうが、自分も罰せられてまで俺に恨みを晴らして、本当に満足できるのかは疑問だ。
目を逸らして葛藤している素振りを見せる彼に、違う角度から思い直すよう伝えてみる。
「……昨日、小宮山さんが会社に来ましたよ」
菫の名を出した直後、増田は目を大きく開いて明らかな反応を見せた。やはり、彼女の存在も大きいらしい。
「増田部長のことを、とても心配していました。あなたが心底大切なのだと思います」
昨日見た苦しげな菫の顔を思い返して言うと、増田はまつ毛を伏せてフッと鼻で笑う。
「……こんな男が大切なわけないだろ。そばにいたら、あいつを不幸にさせるだけなんだから」
「もしもよからぬことを企んでいるのなら、もう一度お考え直しください。それは、あなたの身を滅ぼしてまでする必要があることなのか」
俺たちは秘密保持契約を結んでいるので、違反したとなれば増田もただでは済まされない。
それは当然わかった上での計画なのだろうが、自分も罰せられてまで俺に恨みを晴らして、本当に満足できるのかは疑問だ。
目を逸らして葛藤している素振りを見せる彼に、違う角度から思い直すよう伝えてみる。
「……昨日、小宮山さんが会社に来ましたよ」
菫の名を出した直後、増田は目を大きく開いて明らかな反応を見せた。やはり、彼女の存在も大きいらしい。
「増田部長のことを、とても心配していました。あなたが心底大切なのだと思います」
昨日見た苦しげな菫の顔を思い返して言うと、増田はまつ毛を伏せてフッと鼻で笑う。
「……こんな男が大切なわけないだろ。そばにいたら、あいつを不幸にさせるだけなんだから」



