数日後、素行調査の結果が届き、俺たちは意外な事実を知った。
増田が名簿業者と会っている旨が記されていたのは、おおかた予想通りだったので驚きはしない。サーバールームに出入りしていることから、個人情報を盗んで売ろうと目論んでいるのだと想像がついていた。
業者との会話からは、次回会うときにデータを渡すという内容を聞き取れたらしい。それを漏洩されでもしたら、ジョインプレッションにとって死活問題となる。
セキュリティ対策は厳しくしているので、そう簡単に盗めないはずだが、方法を探ったり機会を窺ったりしているのだろう。
意外だったのは、彼が会っていたもうひとりの人物──菫だ。
ふたりは増田のマンションに入っていくのを目撃されていた。まさか、本当に繋がりがあったとは。
いくらか動揺しつつも、ひとまず瀬在と共に増田への対応を考える。そうして帰宅するとき、一階のエントランスで見覚えのある女性を見つけた俺は、思わず足を止めた。
「菫……?」
十年近く会っていないにもかかわらず、髪型もファッションもそれほど変わっていなかったのですぐにわかった。



