最後の一夜のはずが、愛の証を身ごもりました~トツキトオカの切愛夫婦事情~


そんな穏やかで幸福な生活に、突如投下された一絵の不倫疑惑。

写真を見たとき、自分でも驚くほどの真っ黒な感情が込み上げてきた。高海と仲がいいのは知っていたし、ツーショットだって何度も見ていたのに、俺も知らないところでふたりが一緒にいた事実を突きつけられただけで、ひどく嫉妬した。

しかも、高海に告白されていたという。一絵に気があるのかもしれないと薄々感じてはいたが、結婚も妊娠もしている状態の今、まさか行動に移してくるとは。

その事実を聞いたおかげで、それまで取り繕っていた平静さは一気に失くしてしまった。彼女を責めるつもりなどなかったのに。

一絵は不倫などしないし、あいつに流されることはないと信じている。とはいえ、男に本気で迫られたら力では敵わない。万が一の事態になる前に、少し注意していてもらいたかった。

それを伝えたかったのだが、嫉妬心が邪魔をして厳しい言葉たちを投げつけてしまった。

しまいには、菫の話が出される始末。誰かが……いや、おそらく瀬在が一絵に漏らしたのだろうが、過去が蘇ってさらにいら立ちが増幅したのだった。