絵本を読みながら、そんなふうに思いを馳せる。いつしか忘れていた、絵本作家になりたかった夢も思い出し、男の子と一緒に楽しんでいた。
しばらくして一絵に呼ばれ、俺たちの順番が来たことに気づいた。母親に感謝されつつ男の子に手を振って別れ、ふたりで診察室のほうへ向かう。
一絵は俺に寄り添い、なんだか嬉しそうにニコニコしている。
「慧さんの妻になれて、本当によかった」
「どうした、急に」
「子供と戯れてる慧さんを見てたら思ったの。私、世界一幸せだなって」
やけに素直に、大袈裟なことを言う彼女が、とびきり可愛く思えた。俺と結婚してそんなふうに感じてくれるなんて、男冥利に尽きるだろう。
今すぐ抱きしめたい気持ちを一旦封印し、一絵の耳に唇を近づけて囁く。
「……帰ったら、これでもかってくらいキスしてやる」
「え」
一瞬カチッと固まる彼女も可愛くて仕方なく、口元がだらしなく緩んでしまった。
どうか、いつまでも今の気持ちのままでいてほしい。俺も君を幸せにする努力をし続けるから。
しばらくして一絵に呼ばれ、俺たちの順番が来たことに気づいた。母親に感謝されつつ男の子に手を振って別れ、ふたりで診察室のほうへ向かう。
一絵は俺に寄り添い、なんだか嬉しそうにニコニコしている。
「慧さんの妻になれて、本当によかった」
「どうした、急に」
「子供と戯れてる慧さんを見てたら思ったの。私、世界一幸せだなって」
やけに素直に、大袈裟なことを言う彼女が、とびきり可愛く思えた。俺と結婚してそんなふうに感じてくれるなんて、男冥利に尽きるだろう。
今すぐ抱きしめたい気持ちを一旦封印し、一絵の耳に唇を近づけて囁く。
「……帰ったら、これでもかってくらいキスしてやる」
「え」
一瞬カチッと固まる彼女も可愛くて仕方なく、口元がだらしなく緩んでしまった。
どうか、いつまでも今の気持ちのままでいてほしい。俺も君を幸せにする努力をし続けるから。



