最後の一夜のはずが、愛の証を身ごもりました~トツキトオカの切愛夫婦事情~

「あー……いいんですか?」
「もちろん。皆でこのプレゼントに決めたときも、大きいから社長に預けるか、誰か持っていってあげようって話になってたから」


そう言われて、ちょっぴりホッとする。SNSの一件以来、慧さん以外の男性とふたりになるのは少し抵抗があったが、社内の皆が承知しているなら大丈夫だろう。

快く申し出てくれた部長に感謝しつつ、「じゃあ、お言葉に甘えて」とお願いすることにした。

麻那や高海と、もう一度しばしの別れを惜しんでから地下駐車場に向かい、増田部長の愛車らしいミニバンに乗せてもらう。男性と車中にふたりきりになるのは妙な緊張感があるが、部長の場合はほっこりする人柄のせいか、だいぶ気楽だ。

総務なので私たちの住所も知っている彼は、スムーズに車を走らせながら話をする。


「身体が一番心配だったから、無事産休に入れて僕もホッとしたよ」
「はい。本当にありがとうございました」
「一時は厄介なこともあったけど、その後はなにもなさそうだしね」


それはSNSの件だとすぐにわかり、私は苦笑する。