予想外の人物の名前に驚き、見開いた私の目に飛び込んできたのは、エレガントなバスケットに入れられたプリザーブドフラワー。
ピンクと淡い紫のバラに、かすみ草がアレンジメントされていてとても美しく、心臓が軽く揺れ動いた。
慧さんとは、あれ以来ずっと雰囲気がいいとは言えず、よそよそしい感じが続いている。私は気まずくて家事ばかりしているし、まるで結婚した当初の家政婦ロボットに戻ったみたいだ。
仲直りの方法も、タイミングもわからなくて、このままでは悪化するばかりなのにどうすることもできずにいる。彼は明日まで出張でいないので、正直気がラクだった。
そんな彼からだという、このプレゼント。素直に嬉しいけれど、うちの会社では、結婚や退職をする人には、社長から餞別の花を渡すのが恒例となっている。これもその一環でしかないのだ。
どこまでも社員扱いなんだなと、呆れにも似た苦笑を漏らして花を受け取る。
「律儀ですね。こんなところまで一社員として扱わなくてもいいのに」
「いや……実は、これまで餞別の花は僕が用意していたんですが、今回だけは社長が直々に選んだんですよ。この意味、わかりますよね?」
ピンクと淡い紫のバラに、かすみ草がアレンジメントされていてとても美しく、心臓が軽く揺れ動いた。
慧さんとは、あれ以来ずっと雰囲気がいいとは言えず、よそよそしい感じが続いている。私は気まずくて家事ばかりしているし、まるで結婚した当初の家政婦ロボットに戻ったみたいだ。
仲直りの方法も、タイミングもわからなくて、このままでは悪化するばかりなのにどうすることもできずにいる。彼は明日まで出張でいないので、正直気がラクだった。
そんな彼からだという、このプレゼント。素直に嬉しいけれど、うちの会社では、結婚や退職をする人には、社長から餞別の花を渡すのが恒例となっている。これもその一環でしかないのだ。
どこまでも社員扱いなんだなと、呆れにも似た苦笑を漏らして花を受け取る。
「律儀ですね。こんなところまで一社員として扱わなくてもいいのに」
「いや……実は、これまで餞別の花は僕が用意していたんですが、今回だけは社長が直々に選んだんですよ。この意味、わかりますよね?」



