生々しい言葉の数々に、私は両手で真っ赤になっているであろう顔を覆った。彼はおかしそうにクスッと笑いをこぼす。

慧さん、なんだか乗り気になってない? それに、絶対手練れだしエッチだ、この人。

ベッドの上を転げ回りたい気分で悶えていると、「一絵」と穏やかな低い声がして、そっと手を避けられる。

わずかに潤む瞳に、緩やかに唇を弓なりにした彼が映った瞬間、空気が甘く変わった気がして胸が高鳴った。

彼の顔が近づいてきて、私は反射的にぎゅっと目を瞑る。額や頬に、緊張を解すかのごとく軽く唇が触れる。

その唇のぬくもりや、髪を撫でる手つきは、愛されているんじゃないかと勘違いしてしまいそうなほど優しい。

これが最初で最後。きっともう二度と、愛される錯覚を起こすことすらないだろう。だったら、今夜は目一杯彼を感じたい。


「あ、あの」
「ん?」
「慧さんになら……どうされてもいい、です」


おずおずと彼の身体に手を回しながら恥を忍んで言うと、二重の切れ長の瞳が一瞬見開かれた。

私の願望に合わせてもらうよりも、彼の好きなように抱いてほしい。そのほうが、彼のことをより深く知れそうな気がしたから。