最後の一夜のはずが、愛の証を身ごもりました~トツキトオカの切愛夫婦事情~

この投稿を信じてしまっていたら、私たちの夫婦関係にヒビが入るのは避けられない。そうでなくても、絶対に嫌な思いはしているはず。


「本当に、誰がなんのためにこんなこと……」


私が不安でいっぱいの声を漏らすと、皆が同じことを考えるように、表情を暗くして押し黙っていた。


社員の視線が気になって仕方ないが、仕事をしないわけにはいかない。なんとか気持ちを切り替え、パソコンに向かってしばらく経った頃、オフィス内がざわつき始める。

視線を上げると、慧さんがやってきて皆と挨拶を交わしている姿が目に入り、心臓がドクンと重い音を立てた。

いつもクールなので今日もその顔に笑みはないが、纏う空気は張り詰めているように感じる。

私も知っているのに黙っているのはおかしいし、できればすぐにでも話し合いたい。とにかく慧さんに声をかけようと、重いお腹を抱えて腰を上げたときだった。

デスクにつく慧さんと同時に歩み寄ったのは、真剣な面持ちの高海だ。私だけでなく、周囲の皆がふたりに注目する。


「社長、SNSの書き込みの件はご存じでしょうか」
「……ああ」