最後の一夜のはずが、愛の証を身ごもりました~トツキトオカの切愛夫婦事情~

嬉しい言葉に、私はぱあっと顔を輝かせ、ふたつ返事でショッピングモールの名前を伝えた。

予想外のデートの予定が舞い込んで浮き立っていた私は、慧さんに早く聞きたいと思っていたことを投げかける。


「あ、ちょっと慧さん! いつ、どうしてアレをつけたんですか!? あの、キ、キスマーク……」


頬が熱くなり、だんだん勢いを弱めて問い質すと、彼は『ああ、あれね』と冷静に返す。


『俺の妻だと主張しておける方法を思いついたから、昨夜君が眠ったあとに吸った』
「吸っ……!」


言い方!と、言葉にならないので心の中でツッコむ。アザがつくほど吸われたのに気づかない自分にも呆れるが、とりあえずそういう理由だったのかと納得した。

彼の独占欲の証なのだとわかって、ますます恥ずかしくなる。

私が悶えているのを見抜いているのか、電話の向こうからクスッという笑いと、『隠すなよ、印』といたずらっぽい声が聞こえてきた。