最後の一夜のはずが、愛の証を身ごもりました~トツキトオカの切愛夫婦事情~


高海からお友達夫婦の情報を聞き出して、喜ばれそうな出産祝いを選び、自分用のベビー用品も購入した。

会計するとき、彼は『誕生日、なにもしてやれてないから』と私の分まで支払ってくれようとしたのだが、気持ちだけ受け取って遠慮しておいた。申し訳ないし、なんとなく慧さんに悪い気がして。

高海は不服そうにしていたけれど、私は彼のオカンっぷりを凌ぐイケメン力に感心したし、気持ちだけで嬉しかった。

彼とはショップを出たところで別れ、ちょうどお昼時なのでなにか食べようとお店を見て回る。

そのとき、バッグの中でスマホが震えているのに気づいた。画面に表示された着信の相手は慧さんだ。今日買い物をすることは伝えてあるが、どうしたのだろう。

スマホを耳に当てると、心地いい声が流れ込んでくる。


『一絵、まだ出かけているか?』
「はい。今、お昼をどうしようかなと思っていたところで」
『こっちは終わったから、合流しようか。どこにいる?』