最後の一夜のはずが、愛の証を身ごもりました~トツキトオカの切愛夫婦事情~

前と同じ距離感で接したら、変に期待させてしまうんじゃないかと考えたりもしたが、この人ならそんな勘違いはしないだろう。むしろ、遠慮するほうが煽ってしまうかもしれない。

麻那とも話したように、やっぱりこれまで通りにするのが一番いいのだろうと思い、私は口角を上げて明るく言う。


「出産祝い、一緒に選んであげようか」


一瞬、真顔になった彼は、そろそろと視線を外して呟く。


「……惚れた女の情けは受けん」
「強がるなって」


ポンと肩を叩き、ついさっき言われた言葉をそのまま返すと、高海は〝やられた〟というような顔をしてうなだれる。

彼にも私以上に好きな人が早くできますようにと密かに願い、あーだこーだ言いながらふたりで店内を見始めた。