「したじゃないですか……結婚式で」
「あんなの挨拶みたいなものだろう」
さらりと返され、私はちょっぴり口を尖らせた。
確かに気持ちのこもったものではなかっただろうし、慧さんほどの人なら慣れているでしょうけど、私にとってはものすごく貴重でドキドキしたんですからね。
……と、物申したくなったのもつかの間、私の髪に手が差し込まれる。しっかりと頭を支えられ、熱を孕んだ瞳と視線が絡まる。
「本物のキス、ちゃんと覚えておけ」
その刹那、まるで教え込むように、先ほどよりも深く唇を重ね合わされた。
食べられてしまいそうな、舌までねっとりと絡みつくそれは、確かにこれまでとまったく違う。脳みそまでとろけそうなくらい、とびきり甘い味がする。
仕事人間で、近寄りがたいオーラを醸し出していて、妻である私にも興味のなさそうだった彼が……今、めちゃくちゃ官能的なキスをしている。
このありえない状況に感化されて全身が熱くなり、興奮しているのだと自覚して羞恥で一杯になった。
「あんなの挨拶みたいなものだろう」
さらりと返され、私はちょっぴり口を尖らせた。
確かに気持ちのこもったものではなかっただろうし、慧さんほどの人なら慣れているでしょうけど、私にとってはものすごく貴重でドキドキしたんですからね。
……と、物申したくなったのもつかの間、私の髪に手が差し込まれる。しっかりと頭を支えられ、熱を孕んだ瞳と視線が絡まる。
「本物のキス、ちゃんと覚えておけ」
その刹那、まるで教え込むように、先ほどよりも深く唇を重ね合わされた。
食べられてしまいそうな、舌までねっとりと絡みつくそれは、確かにこれまでとまったく違う。脳みそまでとろけそうなくらい、とびきり甘い味がする。
仕事人間で、近寄りがたいオーラを醸し出していて、妻である私にも興味のなさそうだった彼が……今、めちゃくちゃ官能的なキスをしている。
このありえない状況に感化されて全身が熱くなり、興奮しているのだと自覚して羞恥で一杯になった。



