最後の一夜のはずが、愛の証を身ごもりました~トツキトオカの切愛夫婦事情~

か、可愛い? 中身〝も〟? 今までのやり取りから、どうしてそんなふうに思うんだろう。謎だ……けど、ちょっと嬉しい。

今の慧さんは、どことなく心を開いてくれている気がする。表情も雰囲気もいつもよりずっと柔らかくて、私の顔は自然に火照り、胸がざわめく。


「君が自分の気持ちを率直に口にしたり、膨れっ面したりするの、この一年で今初めて見たよ。決められたことをするだけの家政婦ロボットみたいで、正直気味悪いと感じるときもあったんだ」
「慧さんは相変わらず裏表のない人ですね……」


私は脱力しながら茶々を入れた。この人は発言が結構あけっぴろげだから、ある意味清々しい。

彼にも家政婦みたいだと思われていたのね。いや、ただの家政婦ならまだしも、ロボットが追加されてすごく無機質っぽくなりましたよ。〝古きよき妻〟でいようと心がけていた結果が、ロボットみたいで気味悪いって。

やっぱり私がヤマトナデシコになるのは無理だよ……と、頭の中で両親に向かってぼやいていたとき、慧さんがおもむろに腰を上げた。

こちらに歩み寄り、エスコートするようにそっと私の手を取って立ち上がらせる。