最後の一夜のはずが、愛の証を身ごもりました~トツキトオカの切愛夫婦事情~

さっきから元気がないとは思っていたが、あまり調子がよくないのだろうか。とりあえず声をかけてみる。


「高海、元気ないけど大丈夫? 具合悪いの?」
「……平気。ちょっと頭痛がするだけ」


私を見上げた彼は、やや顔をしかめてそう答えた。

やっぱり不調らしい。高海は弱音を吐かずに無理をするタイプだから、本当に頭痛だけなのか疑ってしまう。

心配になった私は彼のそばに近づき、短い前髪の下の綺麗なおでこにぴたんと手を当てた。

……うん、熱くはない。そして、ひょっとこみたいに驚いた顔をする彼がちょっと面白い。


「熱はないみたいだね」
「だから平気だって」
「いやでも、頭痛はツラいでしょ。とりあえず、医務室に薬だけでももらいに行こ」


腕を掴んで立たせ、不本意そうな彼をぐいぐいと引っ張る。そのままオフィスを出ようとしたところで、高海が一旦足を止めた。


「なんでお前まで」
「休憩するついでだよ。ちゃんとついていかないと行かなそうだし」


この人には行けと声をかけただけではダメだ。オカン男子のくせに自分には厳しいから、きっと我慢するほうを選ぶはず。