最後の一夜のはずが、愛の証を身ごもりました~トツキトオカの切愛夫婦事情~

「さて、あいつのせいで余計な時間を取ったから、さっさと風呂に……」


ふとなにかを思いついたように言葉を途切れさせた彼は、意味深な瞳で私を見下ろす。


「一緒に入るか」
「えっ!?」


突然のハイレベルな提案に、思わず声が裏返った。

これは冗談じゃなく本気? 男性と一緒にお風呂に入るなんて初めての経験だし、もうすべて見せているとはいえ、めちゃくちゃ恥ずかしいんですが!

あたふたする私は、彼にずいっと迫られてシンクに腰をくっつけた。


「時間の節約になるだろ。ついでに身体を隅々まで洗ってやる」
「け、結構です!」
「俺が君に触れていたいんだ。……嫌か?」


私を囲うようにシンクに片手をついた彼に、もう片方の手で頬に触れられる。その声はとろけるように甘く、どこか切なさも交じっていて、反論の言葉は喉につっかえてしまう。

……こういうときに甘えるのはズルいですって。好きな人にそんなふうに言われたら、断る気も起きなくなりますって。

あっさり降参した私は、顔に熱が集まるのを感じつつ目線を上げ、「嫌なわけないじゃないですか」と呟く。

嬉しそうに微笑む旦那様に腰を抱かれ、鼓動を速まらせてバスルームへと向かった。