胸倉を掴まれたまま、慧さんはずーんと表情を暗くして、心底うざったそうにひとこと返した。しかし、お義姉様の猛攻は止まらない。
「一絵ちゃんのこと幸せにするって、結婚式で神様に誓ったんでしょうが!」
「神になんて誰が誓うか」
「ホワァッツ!?」
甲高い声を響かせる結子さん。彼女は慧さんに問題があると思い込んでいるようだし、姉弟ケンカは終わる気配がないので、私は慌ててふたりの間に割って入る。
「結子さん、最初に離婚話を切り出したのは私なんです! まだ妊娠する前に」
今にも殴りかかりそうな彼女を宥めると、ぴたりと動きを止めてこちらを振り向いた。
「え?」
「政略結婚で、普通の夫婦とは言えない状態だったから、このまま一緒にいても意味がないんじゃないかって思ってしまって……。あの頃は、お互いのことをなにもわかっていなかったんです」
正直に伝える私を、ふたりが黙って見つめる。
そう……私も慧さんも、相手の上辺しか見ていなかった。きちんと向き合ってみれば、同じ未来を欲しがっていたというのに。
「一絵ちゃんのこと幸せにするって、結婚式で神様に誓ったんでしょうが!」
「神になんて誰が誓うか」
「ホワァッツ!?」
甲高い声を響かせる結子さん。彼女は慧さんに問題があると思い込んでいるようだし、姉弟ケンカは終わる気配がないので、私は慌ててふたりの間に割って入る。
「結子さん、最初に離婚話を切り出したのは私なんです! まだ妊娠する前に」
今にも殴りかかりそうな彼女を宥めると、ぴたりと動きを止めてこちらを振り向いた。
「え?」
「政略結婚で、普通の夫婦とは言えない状態だったから、このまま一緒にいても意味がないんじゃないかって思ってしまって……。あの頃は、お互いのことをなにもわかっていなかったんです」
正直に伝える私を、ふたりが黙って見つめる。
そう……私も慧さんも、相手の上辺しか見ていなかった。きちんと向き合ってみれば、同じ未来を欲しがっていたというのに。



