「姉さん、こんな時間になにしに──」
「一絵ちゃん! ご懐妊おめでとう~!!」
慧さんが悪態をつくのをわかっていたように、むしろ、彼の存在をないもののようにして声を上げ、結子さんは真っ先に私に向かってきた。
お腹に気をつけてぎゅっとハグされ、私はあたふたしつつお礼を言う。
「あ、ありがとうございます……! 結子さん、帰国されていたんですね」
「うん、やっと時間ができたからね。と言っても一週間だけだけど」
胸元がセクシーなシャツワンピを着こなした、セレブ感満載の彼女は、えくぼがキュートな笑みを見せた。三十五歳なのに少女みたいで、かつ美しさの迫力がある。
本当に美形姉弟だなとつくづく感じていると、玄関の壁に気だるげに背中をもたれ、腕組みをする慧さんが言う。
「来るなら事前に連絡しろ」
「そしたらあなた、絶対〝来るな〟って拒否するじゃない」
「そうだ。そのために連絡しろと言っている」
不機嫌さマックスの彼を、結子さんはじとっとした目で睨んだ。それもつかの間、「ま、姉不孝な弟は置いておいて」とあっさり切り替える。
「一絵ちゃん! ご懐妊おめでとう~!!」
慧さんが悪態をつくのをわかっていたように、むしろ、彼の存在をないもののようにして声を上げ、結子さんは真っ先に私に向かってきた。
お腹に気をつけてぎゅっとハグされ、私はあたふたしつつお礼を言う。
「あ、ありがとうございます……! 結子さん、帰国されていたんですね」
「うん、やっと時間ができたからね。と言っても一週間だけだけど」
胸元がセクシーなシャツワンピを着こなした、セレブ感満載の彼女は、えくぼがキュートな笑みを見せた。三十五歳なのに少女みたいで、かつ美しさの迫力がある。
本当に美形姉弟だなとつくづく感じていると、玄関の壁に気だるげに背中をもたれ、腕組みをする慧さんが言う。
「来るなら事前に連絡しろ」
「そしたらあなた、絶対〝来るな〟って拒否するじゃない」
「そうだ。そのために連絡しろと言っている」
不機嫌さマックスの彼を、結子さんはじとっとした目で睨んだ。それもつかの間、「ま、姉不孝な弟は置いておいて」とあっさり切り替える。



