「ずっとしまったまま放置していたけど、さっさと処分しよう」
そうか、『大事なことを忘れていた』というのは、これを処分することだったのね。私もすっかり頭から抜けていた。
もうこんな紙切れは必要ないのだから、もちろん異論はない。私は迷わず「そうですね」と頷いた。
この書類の出番がなくなったことに心底安堵しながら、破ろうとする彼を見ていたそのとき、インターホンが鳴る。
時刻は午後七時半。こんな時間に誰だろうと、慧さん共々神妙な顔になる。
彼はひとまず用紙をテーブルに置いて腰を上げ、モニターを覗く。
「……は?」
不機嫌そうな一文字が彼の口からこぼれたので、私も隣に歩み寄ってみると、画面には思わぬ人物が映っていて驚愕する。
「えっ、結子さん!?」
前髪のない、長い巻き髪を掻き上げるのは、モニター越しでも美しい慧さんのお姉様だ。
あれ、海外にいるんじゃなかったの!? 急すぎて心の準備ができていない!
珍しくチッと舌打ちした慧さんは、ブラックなオーラを纏って玄関に向かう。どぎまぎする私もあとに続くと、彼がとても面倒くさそうにドアを開ける。
そうか、『大事なことを忘れていた』というのは、これを処分することだったのね。私もすっかり頭から抜けていた。
もうこんな紙切れは必要ないのだから、もちろん異論はない。私は迷わず「そうですね」と頷いた。
この書類の出番がなくなったことに心底安堵しながら、破ろうとする彼を見ていたそのとき、インターホンが鳴る。
時刻は午後七時半。こんな時間に誰だろうと、慧さん共々神妙な顔になる。
彼はひとまず用紙をテーブルに置いて腰を上げ、モニターを覗く。
「……は?」
不機嫌そうな一文字が彼の口からこぼれたので、私も隣に歩み寄ってみると、画面には思わぬ人物が映っていて驚愕する。
「えっ、結子さん!?」
前髪のない、長い巻き髪を掻き上げるのは、モニター越しでも美しい慧さんのお姉様だ。
あれ、海外にいるんじゃなかったの!? 急すぎて心の準備ができていない!
珍しくチッと舌打ちした慧さんは、ブラックなオーラを纏って玄関に向かう。どぎまぎする私もあとに続くと、彼がとても面倒くさそうにドアを開ける。



