最後の一夜のはずが、愛の証を身ごもりました~トツキトオカの切愛夫婦事情~

そんな彼にクスッと笑い、私は素直な気持ちを口にする。


「私は結子さん好きですよ。性格もですけど、一児の母なのにまったく体型が崩れていなくて綺麗で、憧れます。自分はどうなるか、産後を想像するとちょっと怖いから……」
「一絵はなにをしても、どうなっても可愛い。前から言っているだろ」


自嘲する私に、慧さんはさらりとそんな発言をした。

皆さんの前で甘くなるとは思わず、頬が火照りだす。慧さんのご両親は、ものすごく驚いたように目を丸くしている。


「慧……いつの間にそんなことが言えるようになったの」
「私も感動したよ」


口元に指先をあてるお義母様に、嬉しそうに微笑むお義父様が続いた。

私の母はうっすら頬を染め、感心している様子だ。


「慧くんは中身もイケメンね~」
「よかったなぁ、一絵。父さん、見る目あるだろ」


なぜか得意げにする父に、私はじとっとした目線を送る。

結婚を決めたのはお父さんだけど、その前から慧さんのこと好きだったんだからね……と、心の中で呟いた。

両親同士が盛り上がる中、呆れ顔をしていた慧さんが、私と目が合うと余裕の笑みを向ける。それだけでときめいてしまい、父の自惚れなどどうでもよくなっていた。