約一週間後、珍しくお互いの両親と一緒に食事会をすることになった。
会場は、華やかなみなとみらいの街の一角に構えた日本料理店。ここだけ喧騒を感じないような、趣と高級感のある佇まいだ。
高級料理は昔からいただく機会がわりとあったので、敷居の高い店に連れてこられてもあまり気後れすることはない。こういうところは、一応社長令嬢らしいのかなと思う。
ただ、慧さんのご両親と会うとなると話は別だ。いまだに緊張するし、服装も清楚で落ち着きのある印象を与えるロングワンピースにしたが、これで大丈夫だろうかと心配になる。
ふたりとも寛大でいい人だとわかっていても、嫁としての振る舞いには気をつけなければ。
私の両親には、離婚の説得をしようと決めていたあの日に妊娠報告をして、慧さんのご両親には電話で伝えていた。
その辺りから、結婚式以来顔を合わせていないし、妊娠のお祝いも兼ねて一度皆で集まろうじゃないかと私の父が言い出し、今日に至る。
どちらの両親も妊娠報告にはとても喜んでいたけれど、特にひとりっ子である私の両親は初孫なので、それはもう興奮していた。



