最後の一夜のはずが、愛の証を身ごもりました~トツキトオカの切愛夫婦事情~

感激して端整な顔から目を離せずにいると、彼の切れ長の瞳もこちらを向く。


「あと、社長令嬢だからってあぐらをかいていないで、ひたむきに努力しているところが人として好印象だ」


そう言ってわずかに微笑まれた瞬間、心臓がドキリと音を奏でた。

初めて見た彼の笑みは、破壊力抜群で。しかも私の人となりに好感を持ってくれるなんて、すごく嬉しい。

胸が早鐘を打つのを感じ、照れながら「ありがとうございます」としおしおと頭を下げた。

少し自信が持ててきた私は、もうひとつだけ彼の力を借りたい欲が出てくる。ポートフォリオに加えようと思っている作品があり、畔上さんの意見を聞いてみたくなったのだ。

私はフォルダを開き、ふたつの画像を見せる。どちらも、空をバックに街並みと様々な植物をコラージュしたもので、空の色だけが違う。

ひとつは青空、もうひとつは緑系のグラデーションに加工した空。

自分で気に入っている後者を選ぶつもりだが、友達に聞くと皆『青空がいい』と言うので、自分の感性に対して少し不安になっている。