最後の一夜のはずが、愛の証を身ごもりました~トツキトオカの切愛夫婦事情~

パソコンを指差しているので、なんだろうと思いつつ頷くと、彼は私のポートフォリオを最初から見始める。

そうしてすべてチェックしたあと、表情を変えずに口を開いた。


「俺が採用担当なら、君をもらうけどな」
「えっ」


思いがけない言葉に、私は驚いて目をしばたたかせる。


「あくまでこれを見た限りでだけど、君の画力は壊滅的でも、画像加工が得意だったり構成が上手いことはよくわかる。自分の売りがなにかを伝えるプレゼンができているってことだ。まあ、まだ改善点はあるが」


〝画力が壊滅的〟という遠慮のないひとことが胸に刺さるも、それ以上に褒めてもらえて嬉しさが込み上げる。


「絵やソフトのスキルがあっても、センスのない人間はわりと多い。でも君のような人は、企業に入ったあとも魅力を伝えるデザインを生み出せると、俺は思っている」


デザインに関わる仕事をしている人からの言葉はとても説得力があり、胸が熱くなるくらい勇気づけられた。お世辞のように感じないのも、この人が正直だからだろうか。