「畔上さんはデザイナーをされているんですか?」
「いや、広告制作会社で働いてはいるがマーケティング部だ。絵はただの趣味」
「ああ、そうなんですね」
絵を描く才能があるのだから活かせばいいのに、なんてお節介なことを思ってしまう。自分にないものを持っているのが羨ましくもある。
「私、この通り絵が下手なんです……。一応、グラフィックデザイナー志望なのに」
自分の絵を一瞥し、肩を落として苦笑を漏らした。畔上さんは、長い脚を組んで淡々と言う。
「絵が得意じゃなくても、デザイナーとして活躍しているやつはたくさんいる」
「先生にもそう言われました。でも、就職が目の前に迫ってくると無性に不安になるというか……」
どれだけ描いても上達しないから、絵は諦めて写真やワークフレームなど、自分が好きなものに注力してきた。しかし、それで本当に大丈夫だろうかと、日に日に心配になっている。
というか、初対面の人にお悩み相談したら迷惑だよね……と申し訳なくなり始める私に、畔上さんが「ちょっといい?」と声をかけてきた。
「いや、広告制作会社で働いてはいるがマーケティング部だ。絵はただの趣味」
「ああ、そうなんですね」
絵を描く才能があるのだから活かせばいいのに、なんてお節介なことを思ってしまう。自分にないものを持っているのが羨ましくもある。
「私、この通り絵が下手なんです……。一応、グラフィックデザイナー志望なのに」
自分の絵を一瞥し、肩を落として苦笑を漏らした。畔上さんは、長い脚を組んで淡々と言う。
「絵が得意じゃなくても、デザイナーとして活躍しているやつはたくさんいる」
「先生にもそう言われました。でも、就職が目の前に迫ってくると無性に不安になるというか……」
どれだけ描いても上達しないから、絵は諦めて写真やワークフレームなど、自分が好きなものに注力してきた。しかし、それで本当に大丈夫だろうかと、日に日に心配になっている。
というか、初対面の人にお悩み相談したら迷惑だよね……と申し訳なくなり始める私に、畔上さんが「ちょっといい?」と声をかけてきた。



