「あ、あの、こんにちは……!」
「……こんにちは。君は?」
「松岡の娘の一絵です。父はたぶんすぐ戻りますので! すみません、失礼します」
訝しげにする彼に一気に説明し、慌ててパソコンを閉じようとした。しかし、彼は落ち着いた調子でそれを制する。
「いいよ、急がなくて。なにか作業していたんだろう」
そう言ってこちらに近づき、ソファの後ろからやや身体を屈めてパソコンの画面を覗き込んできた。
急に接近されてドキリとするわ、勝手に見ないでくださいと物申したくなるわ、心の中が忙しない。
なんだか興味深げに見つめている遠慮がなさそうな彼は、首に提げた社員証から〝畔上 慧〟という名前なのだと知る。
その直後、「君の作品か。ポートフォリオ?」と聞かれ、私はピンポイントで当てられたことに驚きつつ、こくりと頷いた。
この人はデザイン関係の仕事をしているのかなと考えていると、ふいに彼の綺麗な瞳がなにかに気づいて細められた。
視線の先を辿ると、パソコンではなくその隣に置いたメモ帳に移っている。そこにあるものは、以前私が描いた動物のイラスト。
「……こんにちは。君は?」
「松岡の娘の一絵です。父はたぶんすぐ戻りますので! すみません、失礼します」
訝しげにする彼に一気に説明し、慌ててパソコンを閉じようとした。しかし、彼は落ち着いた調子でそれを制する。
「いいよ、急がなくて。なにか作業していたんだろう」
そう言ってこちらに近づき、ソファの後ろからやや身体を屈めてパソコンの画面を覗き込んできた。
急に接近されてドキリとするわ、勝手に見ないでくださいと物申したくなるわ、心の中が忙しない。
なんだか興味深げに見つめている遠慮がなさそうな彼は、首に提げた社員証から〝畔上 慧〟という名前なのだと知る。
その直後、「君の作品か。ポートフォリオ?」と聞かれ、私はピンポイントで当てられたことに驚きつつ、こくりと頷いた。
この人はデザイン関係の仕事をしているのかなと考えていると、ふいに彼の綺麗な瞳がなにかに気づいて細められた。
視線の先を辿ると、パソコンではなくその隣に置いたメモ帳に移っている。そこにあるものは、以前私が描いた動物のイラスト。



